戦争はごめんだ

 今から、ん十年前、私がまだ小学校低学年の頃。テレビが普及しはじめた頃で、学校の講堂や校庭で映画会が催されることもよくありました。そのなかで忘れられないのが、この映画、「世界大戦争」(1961)です。もしも核戦争が起こったら…という設定で、今見れば特撮もかなりちゃちなものかもしれません。大雑把にまとめれば、フランキー堺演じる主人公一家、どこにでもある、いわゆる庶民の生活が核戦争によって、いとも簡単に奪い去られてしまうというストーリーです。暗い夜空に並ぶ発射寸前のミサイルの列、ボタンが押されミサイルが飛んでいく場面、一家がちゃぶ台を和やかにかこむシーン、交互に流されたシーンは今でも目に浮かぶほど、胸に焼きついています。当時の私には世界情勢などもちろん知るよしもありませんでした。それでも、ひとたび戦争というものになれば、毎日の楽しい生活も戦争になれば台無しになってしまうのだ、戦争なんて絶対嫌だ!と、ぼんやりとした子ではありましたが心に深く刻まれた映画だったのです。この「戦争はごめんだ」という強烈な思いは、今も根っこのところにあるように思います。