クアトロ・ラガッツィ

 『クアトロ・ラガッツィ』、読了。大作でした、ふーっ。16世紀の日本に押し寄せた世界経済と布教の大きな波。戦乱に明け暮れた当時の日本から、異文化の広大な未知の世界へと押し出された四人の少年使節たち。バチカンに残る古文書を丹念に読み解きながら、歴史の大きな流れに巻き込まれながらも、抗い戦った彼らの姿を生き生きと描く。長年ミケランジェロを研究し、異文化と格闘する中からテーマを捜し求めてきた著者自身の姿も、そこに重ね合わされ、単なる歴史モノに終わらない力作。著者の声が、16世紀から現在へと、読むものを引き戻してくれる。 歴史に「もし…」はないが、そこから学ぶことはまだまだあるはず。 じっくり読みたいおすすめの1冊。

少年たちが見たもの、聴いたもの、望んだものを押し殺したのは当時の日本である。・・・それでも、彼らは、自分たちの信じることを貫いて生き、かつ死んだ。・・・人間の価値は社会において歴史において名を残す「傑出した」人間になることではない。それぞれが自己の信念に生きることである。(クアトロ・ラガッツィ―天正少年使節と世界帝国 347ページより 引用)

 

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国