パプア・ニューギニアの地で

 文字のないパプア・ニューギニアの地域で、聖書翻訳の仕事を続けてこられた宣教師の話を聞く機会に恵まれました。13年間の労苦の結晶ともいうべき新約聖書が、その地域の言葉により、この夏、出版されることになったそうです。まず、村の人たちと生活をともにするなかから、言葉を学び、文字にあらわしていきます。その後、特産のバニラ・ビーンズの栽培法、タンブリンの上手な叩き方などを記した小冊子を作り買ってもらいます。本を読むことによって生活に役立つ知識を得ることができる。私達には当たり前すぎるように思えることですが、村の人たちに文字の大切さをわかってもらうためには、何年もかかったそうです。『クアトロ・ラガッツィ』に登場したイエズス会の宣教師たちの姿が思い浮かびました。 

 異文化のなかに飛び込んでいかれ、私には気の遠くなるような仕事をしてこられた方の笑顔は、実にさわやかでした。自分の前に差し出された仕事に、祈りながら誠実に向かい合ってこられたからでしょう。