ここに幸あり [DVD]
またしても、オタール・イオセリアーニ監督作品。
今回は失脚したフランスの大臣ヴァンサンが主人公。それなりに忙しく公務を果たしていたのだが、自らの発言がきっかけで罷免され、部下も取り巻きもいない「ただの人」に戻ってしまう。買い物好きな若い妻に逃げられた彼を母親は暖かく受け入れる。大柄で声も男っぽい母親、怪しいなあと思っていたら、何とミシェル・ピコリが演じていた、懐かしい!昔住んでいたアパートは移民たちに不法占拠されているが、女たちは次々に彼に手を差し伸べてくれるし、界隈の古い友人たちとも酒を飲み歌をうたう愉快な毎日。
ヴァンサンを失職に追いやった後任の大臣も同じように失職。公園で出会ったヴァンサンに「恨んでるか」と尋ねるのだが、ヴァンサンの答えは「その逆だよ」。人生いろいろあるけれど、そんなに捨てたものではないでしょうとじんわり語りかけてくる、オススメ。前に見た。「素敵な歌と舟はゆく [DVD]」同様、かなり緩めのテンポなので見る人を選ぶかも。
『ここに幸あり』というタイトルをみると、どうしても「嵐もふけば雨も降る、女の道よ なぜ険し…」という歌が思い出されてしまう私。
『ここに幸あり』大津美子↓