今ここにある危機

千葉県から福島県の山奥へ引っ越すためにあれこれ片づけていた時のこと。録画ビデオの一つに私が貼りつけたタイトル「今ここにある危機」(ハリソン・フォード主演)が発見され、大笑いになったことがありました。正しくは「今そこにある危機」(Clear and Present Danger)でしたから。

1999年東海村でJCO臨界事故が起こった時、こひつじ1号を出産したばかりの新米ママ・ひつじやの応援に行っていました。画面に映る防護服を着た人たちや静まりかえった村の様子は遠い世界のように思えました。

地震の少ない地方に育ったせいか、「歩く地震計」と呼ばれるほど揺れに敏感だった私は地震が少なく安心していたものでした。私たちが移り住んだところは大きな固い岩盤の上でしたし、素人の手作りログハウスとはいえ、今回の強い地震にも家自体はびくともしませんでした。水は山からの沢水と井戸でまかなうことができましたし、大きな災害に襲われてもいざとなれば周囲の畑を耕せば何とか生き延びてゆくことが出来ると思っていたのです。あの日までは…。今考えれば、何というノー天気。

2008年川内村で行なわれた上映会で「六ヶ所村ラプソディー」、昨年秋には福島で「ミツバチの羽音と地球の回転」を見て、放射能放射性廃棄物の恐ろしさ、25年以上も原発建設に反対してきた祝島の人たちのことを知り、持続可能な社会とは?と考え始めていても、福島第一原発の存在は「今そこにある危機」だったのです。

「今ここにある危機」に否応なく巻き込まれてしまった今となっては、あの時声を上げるべきだったと悔んでもしかたありません。もう黙っていてはいけない、これから先も今いるところで伝えていくつもりです。自分の頭で考える、出来ることを一歩ずつ、前へ進む。流されない。

今そこにある危機 [DVD]

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六ヶ所村ラプソディー [DVD]

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