種まきびとの台所

高知県の山に暮す布作家・早川ユミさんの台所で、みんなのために作られるごはんの本。既刊の『種まきノート』に登場する料理がフルカラーで登場、どの写真も暗めで色が濃いのだけど、これが高知の山のてっぺんの光なんだと思う。311以後の暮しは、もう今までと同じではない。これから暮しをどう建てなおしてゆくか。誰もが立ち止まって考えたことでしょう。

「どんな世界になっても生きてたべなくちゃならない」のなら、どんどん生産し消費する生活から方向を変えて、自分の手で、想像力を働かせながら、自分の生き方で台所を作りましょうとユミさんは呼びかけています。

台所のごみは畑の土にかえり、また新しい作物を作り出すふかふかのベッドになったり、ニワトリが食べてくれて卵になって戻ってくる。そんな小さな循環のなかに身を置いてみて見えてきたこともたくさんあったし、ささやかでも手ごたえのある暮しだったなあと、またも悔しさがこみあげてくる…。でも、やってみる、きっとまた!