人生最初の衣裳

暮しの手帖第一世紀34号の巻頭記事のタイトルは「人生最初の衣裳」、つまりおぎゃあと生まれた赤ちゃんが最初につけるもの―おむつの特集である。1956年、編集部はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツにお住まいの方々に「いま一番使われているのを何種類か、およそ一カ月分」を送ってくれるよう依頼。送られてきたお国柄そのままの各国のおむつと、1956年当時の日本で一般的だった洗いざらしの浴衣製のおむつを比較検討、出まわり始めた紙おむつも「センタクしなくてすむオムツ」として紹介されている。
この記事の最後では、赤ちゃんへの本当の愛情とは何か、ベビー服やよそゆき着といった人の目につくところは飾っても、人目につかないおむつなどにお金をかけるのはもったいないという日本人のものの考え方、暮し方ゆえにこんなに違うのだろうか?我が国にも、政治にも、赤ちゃんに対する愛情が感じられないと痛烈に締めくくっている。

私たちの国にも、私たちの政治にも、そんな愛情がほしいのです。この立派なおむつを見たときほど、「脳なしの政府」を持った国民のみじめさをおもったことはありませんでした。(暮しの手帖第一世紀34号24ページより引用)

昨今、おむつといえば紙おむつがふつうというほどに(いいのか、悪いのか)おむつ事情は変化したが、果たして政治のほうは…。一人一人が大切にされる政治が行われてきたと心から思えたことがあっただろうか。