その土曜日、7時58分（DVD）

（ネタばれあり）ニューヨークの不動産会社の経理担当で羽振りがよさそうだが、横領の発覚を恐れる兄（シーモア・ホフマン）と離婚後の養育費の支払いを滞る弟（イーサン・ホーク）。兄は弟に両親が経営する宝石店の襲撃を持ちかけるが、自分は手を下さない。実行犯を押しつけられた気弱な弟は知り合いのチンピラに頼みこむのだが、思わぬところから番狂わせが生じてゆく。
計画はずさんだし、兄弟共にダメさ加減丸出し（特にイーサン・ホーク）で事態は悪いほうにしか転がっていかないのは明らか。この手の映画は感覚的に苦手だが、どういう終わらせ方をするのか、最後まで目が離せない展開でした。父親（アルバート・フィニ）が犯人捜しにのりだすあたりから、父子の長年の確執が見え隠れし、思いもよらぬ結末へ。邦題から連想されるサスペンスというより、実はもっとこわい人間ドラマなのでありました（監督はシドニー・ルメット）。この3人の好演に加えて、倦怠期の妻を演じるマリサ・トーメイも空っぽな感じがいい。
原題はBefore the Devil Knows You're Dead、”May you be in heaven a full half hour before the devil knows you're dead.”というアイルランドの慣用句からとられたものだそうです。