敗戦記念日に

昨日の礼拝が「幾千万の母たちの」で始まったのは、ちょっと驚いたけれど、幾千万の母の一人として歌いました、「幾千万の母と子の こころにあわせて 今祈る 自分の中の敵だけをおそれるものとなるように 戦いよ終われ 太陽もよみがえれ」(讃美歌21・372番→)。作詞は童謡「さっちゃん」の阪田寛夫さん。
数年前に香月泰男美術館に行った時のこと。シベリアシリーズの一枚の絵の前で母がぽつりと言いました、「こういうのに、うちらも乗ったいね」。暗い画面には、無蓋車にのった兵隊たちが描かれていました。これはショックでした。
明治36年生れのキクばあちゃん(当時すでに未亡人)は女手ひとつで娘二人(母と叔母)と親戚の幼い子どもたち数人を連れて、終戦釜山港から山口県に引き揚げてきました。親戚たちが集まると交わされていた話から、釜山時代の思い出や戦後の苦労は断片的に聞いてはいましたが、外地で蓄えたもの一切を失い、生活を支えるためにふとんを抱えて行商して歩いたキクばあちゃんや親戚たちのこと。私は何も知らなかったに等しい…。
ささやかな暮らしの幸せは戦争によってあっけなく壊されてゆくこと、そして今、原発によっても壊されてゆくこと。きちんと若い世代に伝えておかなければと思う、今日の敗戦記念日です。
★沈黙の語り部長門「海外引揚げ上陸跡地」/毎日新聞山口県版8月16日 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20110816ddlk35040333000c.html